AIガバナンス

Anthropic、物理学者クリストファー・スタッブスを長期的利益トラストに迎える

ハーバード大の物理学者クリストファー・スタッブスがAnthropicの独立した長期的利益トラストに参加し、公益を重視する統治構造に科学の経験を加える。

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AnthropicAIガバナンス長期的利益トラスト

Anthropicは10月21日、ハーバード大学の物理学者クリストファー・スタッブスがLong-Term Benefit Trust(長期的利益トラスト)に加わったと発表した。この独立組織は、同社の統治構造に組み込まれている。スタッブスは同トラスト初の物理学者となる。AIの長期的影響を考慮する責任を持つ組織に、実験科学、大学運営、国家安全保障に関する助言の経験を持ち込む。

発表によると、トラストにはAnthropicの取締役の過半数を任命する権限があり、AIのリスクや社会的影響を中心とする重要な決定について、取締役と経営陣に助言する。スタッブスは、議長のニール・バディ・シャー、国家安全保障専門家のリチャード・フォンテイン、元米連邦準備制度理事会議長のベン・バーナンキに加わる。Anthropicは、受託者が経営陣や投資家から独立していると説明する。今回の任命は受託者への就任であり、会社の取締役とは異なる役割だ。

Anthropicがこの仕組みを初めて公表したのは2023年9月だった。設計では、取締役の選任と解任の権利を持つ特別な種類の株式をトラストに与え、その権利を時間や資金調達に関連する節目に応じて段階的に導入した。同社への経済的利害から隔てられた組織に、顧客や株主の範囲を超える影響を持ち得る決定への正式な関与を認めることを目的としていた。

当初の説明は、通常の事業運営を取締役会と経営チームに委ねていた。トラストの重点は、将来のモデルの壊滅的リスクを評価する動機付けや、強固なセキュリティの維持など、より長期の課題とされた。Anthropicは仕組みを調整する手段も備えた企業統治の実験として示した。今回の任命は既存構造の拡充であり、新たな運営チームの設置やClaudeの能力変更の発表ではない。

スタッブスはハーバード大学のSamuel C. Moncher物理学・天文学教授を務める。研究は宇宙論、素粒子物理学、重力にまたがり、宇宙の加速膨張の発見に貢献したチームに参加した。2003年に同大に加わり、2007~2010年に物理学科長、2018~2024年に文理学部の科学部門長を務めた。ルービン天文台にも携わり、科学助言グループJASONの一員でもある。

AIとの関わりには、研究だけでなく教育もある。ハーバード大学は2024年3月、同氏とローガン・マッカーティーが、生成AIの技術的、倫理的、法的、哲学的な意味を扱う学部生向け一般教育科目を教えていると報告した。コンピューター科学の知識を履修条件とせず、ツールの使用と、その限界や影響の検討を組み合わせた授業だった。この過去の取り組みは、AIを責任を持って使う方法という問いを、大学の幅広い教育課程に位置付けた。

トラストへの任命は、Anthropicが10月18日に別途発表した公益向け資金の計画に続く。同社は株主の承認を条件に、株式の5%を完全所有する基金に充てる案を示した。評価額の節目と取締役会の裁量に応じて、割合を増やす可能性もある。提案した仕組みは、非営利活動の支援や労働市場の混乱への対応など、異なる形の寄付を可能にする。この財務的な役割は、トラストが持つ統治上の権利とは別のものだ。

Anthropicの任命発表は、同じ問いでも実行ごとにモデルの回答が変わり得るAI支援科学における、再現性に関するスタッブスの仕事も取り上げる。同社はその選任を、学界、政府、国立研究所をまたぐ複雑な共同研究を率いた経験と結び付ける。トラストでは、その科学的な視点が、国家安全保障、経済政策、公益組織に関する既存の専門性に加わる。