企業向けAI
Cohere、Northにライセンス付きPitchBookデータを追加
10月26日公開のコネクターが非公開市場の情報をNorthにつなぐ。既存ライセンスとアクセス権の条件は引き続き適用される。
Cohereは10月26日、企業向けAIワークスペースNorthでPitchBookのデータコネクターを提供開始した。非公開市場の情報を扱えるようになり、顧客は既存のPitchBookライセンスを使って、財務情報と社内文書を組み合わせられる。今回の発表はデータ提供会社への新たな接続に関するもので、従業員が質問や業務資料の作成に利用できる情報源を広げる。
発表では、買収候補の調査、資金調達動向の比較、社内説明資料の下書きなどを用途として挙げている。金融情報サービスで得た内容を文章作成ツールへ手作業で移す代わりに、Northに両者をまとめるよう依頼できる。Cohereによると、PitchBookから取得した数値には、人が確認できるよう出典が付く。
出典表示は、確認者が根拠となる資料へ戻るための手がかりになる。ただし、それだけで生成された解釈の正しさを保証するわけではない。Cohereは、コネクターが両製品ですでに設定されているアクセス権に従うと説明している。発表には、調査精度や時間短縮について独立した測定で確認された結果は示されていない。
North自体は今回の連携より前から存在する。Cohereは10月5日にNorth 2を発表し、再利用可能なエージェント、共有の知識ライブラリー、持続的なメモリー、文書やプレゼンテーション、簡単なアプリを作るツールを紹介した。複数の段階にまたがる仕事はオーケストレーション機能が扱い、重要な判断には人が関わる。外部の情報をエージェントや作成中の文書の入力にできる今回の接続は、その設計に沿ったものだ。
先のプラットフォーム発表では管理機能も説明された。North Adminでは役割を設定し、チームごとに使うモデルを決め、ユーザーやエージェント単位で使用量を確認できる。ユーザーとグループのリクエスト数・トークン数の上限に加え、組織全体の上限と通知も設定できる。これらはPitchBook連携以前に説明された管理機能であり、今回の発表は新たな料金や一律の運用費削減を示していない。顧客の施設内やプライベート環境への導入も可能だが、その選択肢と、ライセンスを受けた外部情報の取得に必要な接続条件は別である。
PitchBook自身の製品ページは、対象情報を企業、取引、ファンド、投資家、市場の比較指標と説明する。一方、対象プロフィールには、本体のPitchBookで閲覧できる第三者提供プロフィールの一部が含まれないという注記がある。別の画面で見つかる情報と結果を比較する際には、この範囲の違いが重要になる。ライセンス付きデータをAIアシスタントにつないでも、別のインターフェースで見えるすべての項目が再現されるとは限らない。
パートナーページでは、調査をそのまま業務成果物につなげる使い方を示す。外部の企業財務と社内の戦略文書を組み合わせ、候補企業リストや取締役会の討議資料を作成できるという。判断を担うのは引き続き従業員だ。説明されている利点は、データ取得と文案作成を同じ環境で進めながら、提供会社の記録と、その周囲に書かれた分析とを区別できることにある。
利用には条件が残る。コネクターは有効なPitchBookライセンスを持ち、シングルサインオンを有効にしたNorth顧客向けで、管理者が組織のコネクター設定から有効化する。AIチャットボットの利用者全員にPitchBookのデータベースを一般公開するものではない。